消化器科

Medical

消化器科|厚木市にある土日診療・往診の動物病院 - はやし犬猫病院

Medical

消化器科

こんな症状はありませんか?

困ったねこ
  • 吐く
  • 下痢または軟便
  • 便に血が付く
  • 元気・食欲がない
  • お腹が鳴る
  • お腹が張っている

消化器系の病気

消化器には胃や腸の他、膵臓・胆嚢・肝臓といった複数の臓器が含まれます。そのため消化器疾患では嘔吐や下痢、腹痛、血便など多様な症状が生じ、一時的なものもあればなかなか良くならず慢性化するもの、緊急を要するもの様々あります。症状の程度や状況に応じて必要な検査や治療などのプランをご提示します。

消化器系の図

胃腸炎

人間と同様、お腹をこわして腹痛や嘔吐、下痢などの症状を起こす胃腸炎はわんちゃんやねこちゃんにもよくみられます。胃腸炎は大きく急性と慢性に分かれます。

急性胃腸炎
突然嘔吐や下痢などが起こる一過性の胃腸炎です。原因は誤食やストレス、感染症、薬物、中毒など様々ですが、原因がはっきりしないこともよくあります。多くは自然に治ったり症状に応じた治療で改善しますが、症状が激しかったり状態が悪い場合は検査や入院が必要になることもあります。
慢性胃腸炎
嘔吐や下痢が2~3週間以上続いているあるいは再発を繰り返している胃腸炎です。原因は炎症性腸疾患、リンパ管拡張症、食物アレルギー、感染症、腫瘍などがあります。基本的に自然に治ることはなく、精査をして原因を特定し治療をする、あるいは抗生剤や抗炎症剤、食事療法に反応するか試すといったことが対処法になります。

異物誤飲

異物を飲み込んでしまうことは若い時期に限らず、中高齢の子でも起こり得るトラブルです。対処法は飲み込んだ物の大きさや性状、時間経過などによって異なります。特に胃の出口や腸間内で詰まってしまえば開腹手術が必要になったり、薬品や化学物質など体内に吸収されてしまう物は中毒を起こし命の危険に晒されることもあります。日頃からの対策で防げる事故なので注意してください。

異物誤飲物

異物誤飲物

飲み込んだタオルが小腸で詰まり摘出

誤飲した猫

異物を飲み込んでしまったら自然に出るのを待たずにすぐ病院に相談しましょう!

  • 飲み込んでから数時間以内であれば、吐かせることで解決する場合もあります
  • 飲み込んだ物と同じ物があればお見せください。対処法を決めるうえで非常に参考になります
  • 吐いた物があればお持ちいただくか、お写真を撮ってください

胃拡張・捻転症候群

何らかの原因により急激な胃の拡張と捻転が起こる病気です。胃の出入り口がねじれにより塞がるため胃の中に空気や液体が溜まって胃がどんどん拡張します。その結果、循環障害や血液凝固障害が生じショック症状に陥ることもあり、死亡率は15~68%とされる重大な緊急疾患です。大型犬に多く、食後の運動などが誘発因子となります。症状はお腹が膨れる、呼吸が荒い、吐きたいけど吐けない、よだれが多いなどで、急にぐったりしてしまうこともあります。

体調の悪い犬

レントゲン写真

治療は急を要し、応急処置としては胃のガスを抜くことですが、手術をしてねじれた胃の整復と固定をする必要があります。いくつか予防策はありますが確実なものはなく、少しでも異常に気が付いたらすぐ病院を受診してください。

リスクと予防の図

膵炎

急性膵炎と慢性膵炎がありそれぞれ病態が異なります。

急性膵炎
アミラーゼなどの膵臓の酵素が活性化して、膵臓や周りの組織に強い炎症が急激に起きる病気のことです。肥満や脂肪分が多い食事が発症リスクを高めますが、原因がはっきりしないこともあります。元気食欲の低下、嘔吐、下痢、腹痛などの症状がみられ、重症例では死亡することもある怖い病気です。残念ながら膵炎の特効薬と呼べる薬はなく点滴や吐き気止め、鎮痛剤などの支持療法および対症療法が主体になります。また回復後は低脂肪食が推奨されます。

祈りのポーズをした犬

膵炎の「祈りのポーズ」
お腹を痛がって前肢を伸ばし腰を上げる姿勢がみられたら要注意!

慢性膵炎
長い間、膵臓に小さな炎症が繰り返されたことで徐々に破壊され、膵臓の機能が低下する病気です。ねこちゃんの膵炎はこのタイプが多く、原因はわかっていません。元気食欲の低下や腹痛がみられますが、嘔吐や下痢は少なく症状がはっきりしないこともあるため診断が難しい場合もあります。
治療法は症状に応じて点滴や吐き気止め、鎮痛剤などが用いられます。ねこちゃんの場合食欲不振が続くと肝リピドーシスという肝臓の病気を併発してしまうため鼻や首に栄養チューブを設置して積極的に流動食を与えることが必要になる場合もあります。慢性膵炎は繰り返すことが多く、膵臓の破壊が進みインスリンが分泌されなくなると糖尿病を発症することがあるため注意が必要です。

胆嚢粘液嚢腫(たんのうねんえきのうしゅ)

胆嚢は肝臓で作られた胆汁という消化液酵素を含む液体を貯めて、総胆管から十二指腸に放出するための袋状の臓器です。本来サラサラの胆汁がゼリー状に粘度が増しドロドロになったものを胆泥と呼びますが、その胆泥が胆嚢内に貯留した状態が胆嚢粘液嚢腫です。進行すると胆泥が総胆管に詰まることによる黄疸や、胆嚢破裂に伴う腹膜炎など危険な状況に発展することもあります。血液中のコレステロールや中性脂肪が多いことが関与すると考えられていますが、はっきりとした原因はわかっていません。

胆嚢粘液嚢腫のイラスト

胆嚢粘液嚢腫のレントゲン

初期段階では無症状ですが、進行すると食欲不振や嘔吐、下痢、腹痛などの症状が認められます。特に症状がない状況であれば低脂肪食や利胆剤による内科治療で経過観察を行いますが、進行して症状が出ている場合は手術で胆嚢を摘出することが必要になります。

消化器科診察の流れ

  1. 1.問診

    どのような症状がいつ頃からどのくらいの頻度で生じているか、他にも生活環境や食事内容など細かく伺います。

  2. 2.身体検査

    視診・触診により病状を把握します。

  3. 3.検査

    下痢の症状がある時は糞便検査も行います。もし便を事前に採れたらご持参ください。さらに状況により血液検査やレントゲン検査、超音波検査を行い原因の追究を行います。

  4. 4.治療

    診断結果から治療プランを決定します。フードの種類や生活環境の改善点など細かくお伝えします。

院長より

我々人間と同じでわんちゃん、ねこちゃんもちょっとお腹の調子が崩れることは日常的に起こるものです。しかし中には緊急を要するものもあります。お家の方が軽症か重症かを見分けることは難しい場合もあるので、おかしいなと思ったら早めにご相談ください。