犬の不整脈|脈が不規則なのは大丈夫?考えられる病気について
厚木市、海老名市の皆様こんにちは。
厚木市本厚木のはやし犬猫病院です。
飼い主さんの中には、毎年の健康診断で「不整脈」が見つかった経験がある方もいらっしゃることでしょう。実はこの不整脈、犬や猫などの動物でも見つかることがあるのです。今回はそんな犬の不整脈について詳しく解説します。
▼そもそも不整脈とは?
不整脈とは、心臓の拍動リズムに異常が現れた状態を指します。心臓が1分間に拍動する回数である「心拍数」は、小型犬で60~80回程度、大型犬で40~50回程度であり、この数値を大きく逸脱するようであれば、何らかの異常が疑われます。ちなみに、不整脈は次の3つにタイプに大きく分けられます。
【徐脈性不整脈】
徐脈性不整脈(じょみゃくせいふせいみゃく)とは、脈が異常に遅くなることで、心拍数が大きく減少します。
【頻脈性不整脈】
頻脈性不整脈(ひんみゃくせいふせいみゃく)とは、脈が異常に速くなることで、心拍数が大きく上昇します。
【期外収縮】
期外収縮は、心臓の拍動リズムが乱れる現象で、心拍数に異常が見られるわけではありません。
▼犬の不整脈の症状
不整脈は、明確な症状が現れにくい体の異常です。それは私たち人間でも同じですね。健康診断で期外収縮が見つかっても、日常生活に支障をきたすような症状は現れません。ただ、次に挙げるような症状がワンちゃんに認められる場合は要注意です。
・すぐに疲れてしまう
・元気がない
・ふらついている
・失神する
・苦しそうに呼吸する
こうした症状が現れるのは危険な不整脈であり、最悪のケースでは突然死を招くこともありますので、飼い主さんは十分に注意してあげてください。
▼犬の不整脈の原因
犬の不整脈の背景には、何らかの病気が隠れているものと思われます。最も関連が深いのは心臓の病気といえますが、それ以外の病気でも不整脈は引き起こされます。
◎心疾患
・僧帽弁閉鎖不全症
・拡張型心筋症
・不整脈源性右室心筋症(ボクサー心筋症)
・心臓腫瘍
◎その他の病気・異常
・甲状腺機能低下症
・胃拡張・胃捻転症候群
・膵炎(すいえん)
・脾腫(ひしゅ)
・敗血症
・DIC(播種性血管内凝固)
・中毒
・薬の作用
・重度の貧血
このように、不整脈の原因となるのは、心臓の病気だけではありません。なぜなら、心臓の拍動リズムの管理には、ホルモンなども関与しているからです。内分泌器官の機能低下や腫瘍などが含まれているのはそのためです。
▼犬の不整脈の検査方法
犬の不整脈の検査方法は、基本的に人間と同じです。聴診、血液検査、レントゲン検査、心電図検査(ホルダー心電図を含む)、超音波検査などを行って診断を下します。血液検査やレントゲン検査は、不整脈を起こしている原因を探る上で必要となります。
▼犬の不整脈の治療方法
犬の不整脈の治療方法は、原因によって大きく異なるものの、抗不整脈薬による内科療法が基本となります。もちろん、治療が必要ないケースもあるため、まずは精密検査を受けることが大切です。原因疾患として心臓病がある場合は、ペースメーカーを埋め込むなどの治療が必要になる場合もあります。
▼まとめ
今回は、愛犬の脈が不規則な場合に疑われる病気や体の異常について解説しました。不整脈のある意味でどのワンちゃんにも起こりうるものであり、治療の要否もケースによって変わります。重症例では突然死を招くこともあるので、まずは精密検査を受けて現状を正確に把握しましょう。不整脈を早期に発見する上では、健康診断の定期的な受診が有効といえます。