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病院ブログ|厚木市にある土日診療・往診の動物病院 - はやし犬猫病院

猫の結膜炎の原因と症状、治療法について解説|はやし犬猫病院

厚木市、海老名市の皆様こんにちは。

厚木市本厚木のはやし犬猫病院です。

今回は猫の結膜炎について、解説いたします。

 

◆猫の結膜炎は角膜や結膜に炎症を引き起こす

結膜炎は猫でよくみられる眼の病気であり、まぶたの裏や目じりの粘膜である結膜に炎症が引き起こされます。また、黒目や白目の表面を覆う膜を角膜とよびますが、結膜炎では位置の近い角膜にも炎症がみられる場合があります。猫の結膜炎は病源体の感染によって引き起こされることが多く、細菌の仲間である猫クラミジアや猫風邪として知られている猫ウイルス性鼻気管炎の原因となる猫ヘルペスウイルスが感染し発症します。猫クラミジアによる猫クラミジア感染症は日本の猫におけるもっとも多くの結膜炎の原因だといわれています。

 

・結膜炎がよくみられる猫

猫クラミジア症と猫ウイルス性鼻気管炎は産まれたばかりの仔猫や1歳未満の若い猫でよく結膜炎をおこすとされています。これらの感染症にかかった猫の眼の分泌物やよだれ、鼻水などには多くの病原体が含まれており、猫同士の直接の接触をすることで感染を広げます。猫ウイルス性鼻気管炎をおこす猫ヘルペスウイルスは食器や人の手などの外部環境に付着しても1日程度は感染力を保つといわれており、同居猫が病気にかかっているときには健康な猫に感染を広げないように注意をする必要があります。

 

◆猫の結膜炎の症状

猫クラミジア症では眼が赤く腫れる、涙や目脂が出る、黄色や緑色の膿が目脂に混じるなどの結膜炎に関係した症状がみられます。片目に出ている症状が感染の広がりにより両目に出るようになるといった変化もみられます。結膜炎が進むことで角膜炎がみられ、黒目の表面に血管がみえる、色が白っぽく抜ける、まぶたが痙攣してしょぼしょぼと動くなどの症状が引き起こされることもあります。猫クラミジア症は眼の症状が多くみられる疾患ですが、鼻水や咳、くしゃみなどの鼻炎のような症状もみられる場合があります。

 

猫ウイルス性鼻気管炎ではウイルス感染による数日の発熱と鼻水がみられた後に、猫クラミジア症のような結膜炎が引き起こされます。眼の黒目に木の枝のように分岐した傷ができる樹上潰瘍は猫ヘルペスウイルスの感染で特徴的にみられる症状であり、ウイルスが増殖し角膜の細胞を溶かしてしまうことで引き起こされます。猫ウイルス性鼻気管炎は適切な治療を受けることでおおむねの症状が治まりますが、猫によっては慢性の結膜炎を続けて引き起こすこともあります。

 

猫ウイルス性鼻気管炎は生後6か月未満の幼い猫において命に関わるような非常に大きな症状がみられる場合があります。また、産まれたばかりの仔猫がウイルス感染をおこすとまぶたが癒着し、角膜の障害や失明などの原因ともなります。

 

 

◆猫の結膜炎の原因

猫の結膜炎は猫クラミジアと猫ヘルペスウイルスの2つの病原体によってよくみられます。猫クラミジアは結膜の細胞に寄生して生活する細菌であり、猫ヘルペスウイルスは眼だけではなく鼻や喉などの上部気道でも増殖するウイルスです。

 

猫ヘルペスウイルスに感染した猫は結膜炎などの急性期の症状がみられたあと一度病気が回復しますが、そのあと症状はみられないがウイルスが継続して感染するキャリアーとよばれる状態に変化します。キャリアーの猫では引っ越しや妊娠などのストレス状態や、ほかの病気で処方されたステロイド剤の免疫抑制作用により再び症状が引き起こされることがあります。一度、猫ウイルス性鼻気管炎にかかった猫を動物病院に受診させるときには獣医師に伝えるようにするとより正確で適切な治療を受けることができます。

 

 

◆猫の結膜炎の診察と治療

・猫の結膜炎の診察

猫の結膜炎では各種の病原体に対するワクチンの接種歴の問診や、眼の角膜や結膜の状態を調べるさまざまな検査、結膜に付着したクラミジアを採取、染色しおこなう鏡検、抗体反応やPCRを利用した検査をおこないます。

 

・猫の結膜炎の治療

猫のクラミジア症ではクラミジアに効果がある抗生物質の投与をおこない、眼の感染を治療していきます。猫ウイルス性鼻気管炎ではウイルス感染に対する治療よりも、ウイルス感染によって引き起こされた細菌の二次感染や、炎症を抑えることを目的として治療をおこないます。仔猫の感染では栄養失調や脱水を抑えるために輸液や高い栄養価のある流動食の給餌をおこなうことがあります。