【獣医師が解説】猫のてんかんとは?発作の特徴と治療・暮らしの工夫|厚木市のはやし犬猫病院
厚木市、海老名市、伊勢原市の皆様こんにちは。
厚木市本厚木の動物病院、はやし犬猫病院です。
「突然体がけいれんして倒れた」
「じっと固まって動かない時間があって心配…」
大切な猫ちゃんにこのような発作が起こると、驚きと不安でいっぱいになりますよね。
今回は、猫のてんかんの原因や症状、治療法、そして発作がある猫との上手な暮らし方について、獣医師がわかりやすくお伝えします。
猫のてんかんとは?
てんかんとは、脳の神経が一時的に異常な興奮を起こすことで、けいれんや意識障害などの発作が起きる病気です。
発作の頻度や症状は猫によってさまざまですが、繰り返し起こる場合には“てんかん”と診断されることがあります。
犬よりも少ないと言われている猫のてんかんですが、実は見逃されているケースも多く、「なんとなく様子がおかしい」と思ったら早めの受診が大切です。
症状|猫のてんかん発作には種類があります
てんかん発作には「全身性」と「部分発作(焦点発作)」があります。
全身性発作の特徴(典型的なてんかん発作)
- 全身がガクガクとけいれんする
- 倒れて硬直する
- 意識がなくなって反応しない
- よだれを垂らす・尿や便をもらす
- 発作後はぼーっとする/ふらつく
部分発作(焦点発作)の特徴
- 顔や足の一部だけがピクピクとけいれんする
- 急に走り回る、鳴き続ける
- 壁を見つめたまま動かない
- 同じ動作を繰り返す(ぐるぐる回るなど)
- 数十秒〜数分でおさまる
これらの症状が定期的に繰り返される場合、「てんかん」の可能性があります。
原因|猫のてんかんはなぜ起こるの?
てんかんの原因は、大きく2つに分けられます。
- 特発性てんかん(原因が特定できないもの)
脳の構造には異常が見つからず、遺伝的な要因や神経のバランスの乱れが関与していると考えられます。比較的若い猫に多く見られます。
- 症候性てんかん(二次性てんかん)
脳腫瘍、脳炎、外傷、感染、肝性脳症、中毒など、何らかの病気や障害が背景にある場合に起こる発作です。高齢の猫で突然発作が起こった場合は、こちらの可能性が高くなります。
動物病院に行くべき目安
発作が1回だけであっても、てんかんの可能性がある場合は一度動物病院を受診することをおすすめします。
以下のようなときは特に注意が必要です。
✅発作が5分以上続く、または何度も繰り返す
✅発作の後、意識がなかなか戻らない
✅高齢猫で初めて発作が見られた
✅よだれ、失禁、硬直などがある発作を繰り返している
✅発作後にふらつきや食欲低下がある
受診時には、発作の様子をスマートフォンで動画撮影しておくと、診断の大きな手がかりになります。
検査と診断|てんかんかどうかを見極める
はやし犬猫病院では、以下のようなステップで診断を進めていきます。
- 身体検査と神経学的評価
- 血液検査で内臓の異常がないか確認(特に肝臓・腎臓・血糖)
- **必要に応じてMRIやCT検査(提携施設)**で脳の構造異常をチェック
症候性てんかんであれば、原因となっている病気の治療が最優先となります。
特発性てんかんと診断された場合は、発作のコントロールを目的とした内服治療を行います。
治療方法|発作と上手につきあうことが大切です
てんかんの治療は、「完治」よりも「発作を減らし、生活の質を保つこと」が目標です。
- 抗てんかん薬(フェノバルビタールやゾニサミドなど)を毎日服用
- 血中濃度を測定しながら適切な量を調整
- 投薬のタイミングや間隔を守ることがとても重要です
薬を飲んでいても発作が完全になくなるとは限りませんが、発作の頻度や重さを大きく軽減できるケースが多いです。
発作がある猫との暮らしで気をつけること
てんかん発作のある猫ちゃんと暮らすには、発作時の安全確保と、日々の体調管理がとても大切です。
- 発作中は触らず、危険なものをどけて見守る(咬まれることがないよう注意!)
- 発作後の行動(ふらつき、混乱)にも注意を
- 発作の時間、様子、頻度を記録しておく
- 定期的な血液検査で副作用チェック
- お留守番中に備えて、かかりつけ病院の電話番号を貼っておく
- ストレスを減らす静かな生活環境を整える
「どんな時に発作が起きやすいのか」を把握することも、管理の第一歩になります。
Q&A|飼い主さまからよくあるご質問
- 発作中にできることはありますか?
A. 触らずに見守り、周囲にぶつからないようスペースを確保してください。動画を撮るのも診察の手がかりになります。 - 発作が1回だけでも病院に行くべきですか?
A. はい。1回きりの発作でも、脳の病気が背景にあることもあるため、検査をおすすめします。 - 一生薬を飲まないといけませんか?
A. 特発性てんかんでは、継続的な投薬管理が基本となります。ただし、状態によっては減薬や調整ができることもあります。
まとめ|発作は“恐れるもの”ではなく、“管理するもの”へ
猫のてんかんは驚きの症状から始まることが多いですが、早期に診断・治療を始めることで、発作の頻度や重症化を抑えることができます。
はやし犬猫病院では、飼い主さまの不安に寄り添いながら、てんかんのある猫ちゃんと安心して暮らせる方法を一緒に考えていきます。
「ちょっと様子が変だったけど大丈夫かな…?」
「薬の管理や通院が心配…」など、どんなことでも構いません。
どうぞお気軽にご相談ください。
大切な猫ちゃんの穏やかな暮らしを、私たちがしっかりとサポートいたします。