【獣医師が解説】犬の血便の原因と動物病院に行くべき症状とは|厚木市の動物病院、はやし犬猫病院
厚木市、海老名市、伊勢原市の皆様こんにちは。
厚木市本厚木の動物病院、はやし犬猫病院です。
今回は「犬の血便(けつべん)」について、考えられる原因や緊急性の判断、自宅での対応のポイントなどを、獣医師の視点から詳しく解説いたします。
■ 犬の血便とは?見た目でわかる2つのタイプ
血便には、「血の色」や「便の状態」によって主に以下の2つに分類されます。
- 鮮血便(せんけつべん)
便の表面に赤い血が付着。肛門に近い大腸〜直腸からの出血が考えられます。
例:便の最後に血がポタっと付く、トイレシーツに血だけが落ちている
- 黒色便(タール便)
黒くて粘り気のある便。胃や小腸からの出血が疑われます。胃酸と混ざることで黒くなるのが特徴。
⚠️ 黒色便は見た目だけでは気づきにくく、重篤な病気のサインであることが多いため要注意です。
■ 【原因別】犬が血便をする理由とは?
血便は一時的なものから、命に関わる病気まで幅広い原因があります。
① 一過性の腸炎(軽度)
- 食べ慣れないものやゴミを食べた
- 急なフード変更
- ストレス(環境の変化・留守番など)
🔎 この場合、一度限りの血便で、元気・食欲があれば様子を見ても良いケースもあります。
② 細菌・ウイルス感染
- 大腸菌、サルモネラ菌などによる感染性腸炎
- 子犬に多いパルボウイルス感染症(高リスク)
⚠️ 発熱・嘔吐・元気消失がある場合は、命に関わる疾患の可能性あり。すぐに受診を。
③ 寄生虫感染
- 回虫、鉤虫、鞭虫、コクシジウムなど
🔎 子犬や保護犬によく見られます。便検査で寄生虫の有無を確認します。
④ アレルギーやフード不耐性
- 特定のタンパク質や添加物に反応
- 慢性的な下痢や軟便、体重減少を伴うことも
⑤ 異物や中毒による腸の刺激
- 骨・ビニール・おもちゃの誤食
- 玉ねぎ、チョコレートなどの中毒性食品
⑥ 腫瘍やポリープ
- 高齢犬では、**大腸ポリープや腫瘍(がん)**が出血原因になることがあります。
■ 血便が出たとき、自宅でできる対応
一時的で軽度の場合には、以下のようなケアが可能です。
✅ 自宅でのケア方法
- 半日〜1日程度の絶食(※状態が安定していて、軽度な嘔吐の場合に限ります。また子犬・老犬に長時間の絶食は要注意です。)
- 水分補給をしっかり行う(脱水予防)
- 消化の良いフードや療法食に切り替える
- 血便の写真・排便のタイミングを記録しておく
📌 市販の下痢止めや抗生物質を自己判断で使うのはNGです。かえって悪化するリスクがあります。
■ 動物病院を受診すべき血便の目安とは?
血便が見られて、以下の症状がある場合は、早めの受診が必要です。
症状 | 考えられる状態 |
✅ 血便が1日以上続く | 慢性の腸炎・感染症の可能性 |
✅ 血便+下痢・嘔吐・発熱がある | 感染症や中毒の可能性 |
✅ 黒い便(タール便)が出る | 胃・小腸出血の可能性(緊急) |
✅ ぐったりして元気がない | 脱水や貧血、全身状態の悪化 |
✅ 子犬・老犬が血便をしている | 体力低下による重症化リスク高 |
■ Q&A:飼い主様からよくあるご質問
- 血便が出たけど、元気があるなら様子見でも大丈夫?
→1回限りで他の症状がないなら様子見も可能ですが、繰り返すようなら受診をおすすめします。 - 血便を持ってきた方がいい?
→できれば便の写真か現物を持参してください。検査で原因を特定しやすくなります。 - 下痢止めを飲ませてもいい?
→自己判断での投薬は控えましょう。感染性腸炎などの場合、悪化する恐れがあります。
■ はやし犬猫病院での診察と検査の流れ
はやし犬猫病院では、血便の診察時に以下のような流れで診療を行います。
- 問診・身体検査
排便状況・食事内容・経過などを詳しくお伺いします。
- 便検査
寄生虫・細菌・消化不良の有無を確認します。
- 血液検査・画像診断(必要に応じて)
全身状態や内臓機能、異物の有無をチェックします。
症状・検査結果に応じて、内科的治療・食事療法・点滴治療などを組み合わせて対応します。
■ まとめ:犬の血便は重大なサインのことも
犬の血便は、「ちょっとお腹を壊しただけ」と思いがちですが、
感染症・異物誤食・重篤な病気のサインであることも少なくありません。
「赤い便が出た」「黒い便が続いている」など、いつもと違う便が出たら、
厚木市本厚木のはやし犬猫病院までご相談ください。
海老名市・伊勢原市など周辺地域からも多数のご来院をいただいております。
地域のかかりつけ動物病院として、丁寧な診察と治療をご提供いたします。