犬の肺水腫とは|原因・症状・治療法について獣医師が解説!
厚木市の飼い主の皆様、こんにちは
厚木市本厚木のはやし犬猫病院です。
犬は私たちヒトと同じように「肺水腫(はいすいしゅ)」という病気にかかることがあります。肺に異常が現れる病気であり、普段とは違った呼吸の仕方が見られます。
今回はそんな犬の肺水腫の原因や症状、治療法について詳しく解説します。
▼犬の肺水腫の原因
犬の肺水腫は、心臓病が原因である「心原性肺水腫」と心臓病以外の原因に由来する「非心原性肺水腫」の2つに大きく分けることができます。
◎心原性肺水腫
心臓は全身に血液を供給するポンプの作用を担っていますが、僧帽弁閉鎖不全症や拡張型心筋症などの心臓病を患うと、その機能が低下し、心臓の中に血液が停滞します。
同時に、肺から心臓への血液の戻りも悪くなり、毛細血管がうっ血して、液体成分が肺胞内へと滲み出ていきます。その結果として「肺水腫」が生じるのです。
◎非心原性肺水腫
非心原性肺水腫の代表例は、チョークチェーンです。首輪でワンちゃんの首を閉めすぎることで気道が閉塞します。その他、電気コードをかじって感電したり、焚火の煙を吸い込んで肺の毛細血管に炎症が起こったりすることも原因となりえます。
▼犬の肺水腫の症状
ワンちゃんが肺水腫にかかると、呼吸数が増えます。また、口を開けたままの呼吸や伏せた状態で苦しそうに呼吸する姿も見られます。興奮した時には咳や泡状の鼻水が出ることもあります。その他、舌や歯茎が白もしくは紫色になるチアノーゼや食欲不振、元気消失、不眠などの症状も認められることがあります。
・呼吸数の増加
・開口呼吸
・チアノーゼ
・食欲不振
・元気消失
・咳
・不眠 etc
▼犬の肺水腫の診断方法
犬の肺水腫は、原因や進行度合いに応じて治療法も変わるため、事前の精密な検査・診断が重要となります。犬の肺水腫の検査ではまず呼吸音を聴診します。必要に応じて超音波検査やレントゲン検査などを実施して、肺の状態を正確に診査します。心臓病由来の肺水腫の場合は、心電図検査が必要となることも多いです。その他、尿検査や血液検査などを行った上で診断を下します。
▼犬の肺水腫の治療法
犬の肺水腫の治療は、とにかくまず肺にたまった水を抜かなければなりません。利尿剤を投与して液体を排出させることから始めます。もちろん、急性の肺水腫では酸素が不足している状態なので、酸素吸入を優先します。呼吸困難を起こしているようなケースは一刻を争う事態ともいえるため、飼い主さんはできるだけ早く動物病院を受診しましょう。
重度の肺水腫では、酸素室での管理が必須となります。血管への負担を軽減するために、降圧剤を用いることもあります。中等度の肺水腫では、心臓の収縮力を高める強心剤や酸素を肺に送りやすくする拡張剤の使用が検討されます。非心原性の肺水腫で炎症が原因のケースでは、抗炎症作用の効果が期待できる薬剤で治療を進めていきます。
▼犬の肺水腫を予防する方法
犬の肺水腫は、飼い主さんの努力によってある程度、予防することが可能です。ワンちゃんが心臓病を患っている場合は、動物病院での検診を定期的に受けるようにしてください。普段の生活では、ワンちゃんが電気コードをかじれないような環境を整え、首が閉まるタイプの首輪を使用しないようにするだけでも、かなりの予防効果が期待できます。
▼まとめ
今回は、犬の肺水腫について解説しました。非心原性に関しては、どのワンちゃんにもリスクがある病気なので飼い主さんは十分に注意してください。ワンちゃんに肺水腫の症状が認められたら、できるだけ早く動物病院を受診することが大切です。