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病院ブログ|厚木市にある土日診療・往診の動物病院 - はやし犬猫病院

犬の膀胱炎の原因や症状、治療法について獣医師が解説

厚木市、海老名市の皆様こんにちは。

厚木市本厚木のはやし犬猫病院です。

今回は犬の膀胱炎について、解説いたします。

 

◆犬の膀胱炎は膀胱のバリア機能の異常が引き起こす

膀胱炎は犬で非常に多い疾患であり、14%の動物で一生のうち一度は病気にかかるといわれています。膀胱炎は細菌感染や尿石症などによって引き起こされますが、正常な犬が持つ膀胱や尿道などの泌尿器のバリア機能が衰えることが発症に大きく関係しているとされています。泌尿器のバリア機能は尿の排出や尿道の蠕動運動による異物の洗浄、粘液に含まれる抗体や特定の蛋白質、尿の性状による抗菌作用などから成り立っています。食事内容などによる脱水や尿性状の変化、クッシング症候群や糖尿病などの免疫力を下げる疾患、腎不全などの要因により、このバリア機能が衰えると犬は膀胱炎にかかりやすくなります。

 

また、細菌性膀胱炎は細菌感染が膀胱よりも身体の内側にある臓器に広がることで前立腺炎や腎盂腎炎などの大きな病気を続けて引き起こす可能性があり、尿石症による膀胱炎でも尿石が尿の通り道を塞ぎ、急性の腎不全の原因となる場合があります。犬に膀胱炎の症状がみられているときには、動物病院を受診し治療受けるようにしましょう。

 

 

・膀胱炎がよくみられる犬種

膀胱炎はどのような犬種でもみられる疾患ですが、ミニチュアシュナウザー、ヨークシャーテリア、ラサアプソなどの犬種ではシュウ酸カルシウムとよばれる結石による膀胱炎がよくみられるとされています。尿道と肛門の位置が近いメス犬や免疫力の弱い仔犬などでは細菌感染による膀胱炎がおきやすいといわれています。

 

 

◆犬の膀胱炎の症状

犬の膀胱炎では尿をする際の痛みや、何度も少ない尿をする、尿を漏らしてしまうなどの症状がよくみられます。正常であれば透明で薄い黄色をしている尿の色に、白っぽく濁る、血の混じった赤い色をしている、膿のようなものが混じっているなどの変化がみられる場合もあります。尿石症が関係する膀胱炎では尿の中に細かい結石が混じることでざらざらとしている、お尻の被毛に石のようなものが付着するなどの症状もみられます。

 

尿石や細菌が原因となる膀胱炎では尿に関係する症状だけみられて、元気や食欲、体温や呼吸に変化が表れないことが多いとされていますが、膀胱炎が悪化し前立腺炎や腎盂腎炎などの大きな疾患がみられている場合には全身症状が引き起こされます。前立腺炎、腎盂腎炎などの犬では発熱する、元気や食欲が低下する、吐く、下痢をする、下腹部を触ると痛がる、ペニスから膿が出るなどの症状がみられます。

 

◆犬の膀胱炎の原因

犬の膀胱炎には大きく分けて細菌性の膀胱炎と尿石症による膀胱炎の2つが存在します。細菌性の膀胱炎は大腸菌(Escherichia coli)によって引き起こされることが多く、そのほかの原因菌として糞便に含まれるいくつかの消化管細菌が含まれています。これらの消化管細菌は尿道から侵入し、膀胱、尿管、腎臓へと尿の通り道と逆行するように感染を広げていくため上行性感染とよばれています。

 

尿石症による膀胱炎はリン酸アンモニウムマグネシウム(ストルバイト)結石と、シュウ酸カルシウム結石が原因となります。尿結石は細菌や死んでしまった細胞などの尿石核に、尿中のミネラル成分が結晶化することで発生します。

 

ストルバイト結石は主に細菌感染によりみられる結石であり、尿の成分である尿素をアンモニアに分解するウレアーゼとよばれる酵素を持つ細菌の感染にみられます。一方、シュウ酸カルシウム結石は遺伝子の異常や食事内容などのいくつもの要因が関係し発生するといわれています。

 

◆犬の膀胱炎の診断と治療

・膀胱炎の診断方法

犬の膀胱炎を診断するためには膀胱の異常や痛みを調べる触診や、尿の性状や細菌、結石の有無を調べる尿検査、腎臓などの異常を調べる血液検査、エコー検査などをおこないます。

 

 

・膀胱炎の治療

細菌性膀胱炎やストルバイト結石が原因となる膀胱炎では、泌尿器への感染を治療するために抗生物質の投与をおこないます。また、治療の補助を目的として獣医師により処方される特別な餌である療法食を用いた食事療法をおこない膀胱内の結石を溶かすこともあります。

 

犬の結石症では食事中の水分量を増やすことで病気の発症を予防できるとされています。水入れは常に清潔に保ち、自由な飲水をおこなえるように整備するようにしましょう。